第8回: AI Suitcase特集 -- 「それぞれ得意不得意があるので支え合いながら……」

JBICT.Net事務局 (2022年3月7日)

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「AI Suitcase」という、視覚障害者の移動支援を目的としたスーツケース型のロボットを開発するプロジェクトが進行しています。今回は、日本科学未来館でこのプロジェクトの研究に取り組んでおられる粥川 青汰さんへのインタビューを中心にお送りします。

インタビューでは、AI Suitcaseを含め粥川さんが取り組んでおられる研究について、また2021年4月に浅川 智恵子さんが官庁に就任した日本科学未来館のアクセシビリティー改善の取り組みについて伺っています。

今回のゲスト

粥川 青汰(かゆかわ せいた)さん

早稲田大学 先進理工学研究科 博士課程/日本学術振興会 特別研究員/日本科学未来館 研究員

視覚障害者の実世界における移動支援技術に関する研究に従事。

twitter: @wotipati

今回の出演者(五十音順、敬称略)

  • 小川 敏一
  • 高橋 倫花
  • 高橋 玲子
  • 中根 雅文

主な内容

  • AI Suitcase
  • 粥川さんがAI Suitcaseに取り組むようになった経緯
  • LineChaser - 視覚障害者が列に並ぶことを支援するシステム
  • One-Shot Wayfinding System - 看板の情報を読み取って視覚障害者に伝えるシステム
  • 日本科学未来館でのアクセシビリティーに関する取り組み

関連情報

実証実験に関する情報提供のためのメール・マガジン

インタビューの中で紹介があった、AI Suitcaseの実証実験などに関する情報提供を目的としたメール・マガジンは、以下のアドレスに空メールを送ることで登録することができます:
mlabtouroku@pz63.asp.cuenote.jp

関連リンク

収録後記

AI Suitcaseの話を聞いて感じたことは、以前に比べて「研究」と「実用」が随分と近づいたのかもしれないということです。おそらくこういった仕組みを実現するための要素技術が、以前と比べると小型化、高性能化し、価格も下がってきているというのが大きな要因なのではないかと推測しています。世の中全般的に、アイディアが形になって製品化される速度が上がっている印象がありますが、僕たちに身近な分野も例外ではないようで、なんだかわくわくします。[中根 雅文]

これまでの移動支援技術の大部分は、私たちに今いる場所がどこなのかを教えてくれるか、目の前の障害物等を教えてくれるか、どちらか一方に注力するものだったように思います。でも、AI Suitcaseは、その両方を一度にバランスよく実現してくれそうな気がします。
病院やホテルや込み合った屋内など、AI Suitcaseを手にだれとも何ともぶつかることなく、安心して目的地を巡り歩くことのできる日が、とても待ち遠しいです。[高橋 玲子]

これまでも移動支援や衝突回避という仕組みは研究、開発されてきましたが、基本的にそれらの制御や与えらえる情報の処理は利用者がする必要があり、通常の歩行よりも負荷がかかるケースもありました。AI Suitcaseは、スーツケース自体がこれらの作業を担当してくれるので、利用者は安心して歩行に集中できると思います。また、個人が所有するのではなく、施設に設置するという仕組みも、金銭的な負担やそれを補う福祉制度の不統一により利用できる人とできない人という格差が生じるのを避ける意味でも、非常に有効なものではないかと感じました。[小川 敏一]

今回、粥川さんにお話を伺って、なんだかAI Suitcaseに親しみがわいてきました。実用化されるのが楽しみです。
これから日本科学未来館で開かれる特別展「きみとロボット ニンゲンッテ、ナンダ?」にも行ってみたいです。
浅川智恵子さんがAI Suitcaseの開発についてインタビューに応えておられる動画も、よろしければYouTubeでご覧ください。テレビ朝日の「報道ステーション」で放送された内容の完全版です。
全盲の女性館長が語る 技術で障害を超えて誰も取り残さない未来【報ステ未来を人から 完全版】【SDGs 未来をここから】【日本科学未来館 浅川智恵子】
[高橋 倫花]