「エクストラ最新支援機器セミナー2018」に参加して

高橋 倫花  -  2018年10月3日

2018年8月19日(日)に有限会社エクストラ主催の「エクストラ最新支援機器セミナー2018」が東京で開かれました。
このセミナーは7月に有限会社エクストラから発売された点字音声情報端末「ブレイルセンスポラリス日本語版」に関するものでした。

第一部はHIMS社のジェニファー・アクスラー氏の講演で、ブレイルセンスポラリス(以下では「ポラリス」と記します)が開発された経緯や利用の可能性について詳しくうかがうことができました。
第二部は、静岡県立大学の石川准教授による「ポラリスで便利に使える日本語Androidアプリ」と題された講演でした。

ポラリスに搭載されているスクリーンリーダーは、TalkBackをHIMS社が改良したモバイルスクリーンリーダーです。
日本語の音声エンジンはDTalkerとVoiceTextです。
スクリーンリーダーで読み上げられる内容はエクストラエンジンで点訳されて点字ディスプレイに出力されます。

ポラリスでは、Android OSを採用したことにより、初代ブレイルセンスのファイルシステムの脆弱性が改善され、近年増えているセキュリティの高いWebサイト(https から始まるアドレスのサイト)にもアクセスできるようになりました。

現在ポラリスで使える専用アプリはまだ少ないものの、ポラリスではAndroidアプリをダウンロードして使用できます。
また、Google APPSにも対応しており、カレンダー(スケジュール)や連絡先などを他の端末と共有可能です。

ポラリスはHDMIケーブルでモニタやプロジェクタに接続できます。
ポラリスを操作しながらプロジェクタにスライドを表示してプレゼンテーションをしたり、Webサイトやアプリの画面をモニタで他の人に見てもらってサポートを受けたりするといった活用方法も考えられます。

同セミナーでは、ポラリスに搭載されているカメラを使って色の識別や紙幣の判別をする様子も紹介されていました。

GoogleやAmazonの音声アシスタントを使って検索をしたり、現在の時刻などを調べたり、音楽を再生したりする実演もありました。英語で話しかけても日本語で話しかけても大丈夫なバイリンガルな音声アシスタントだということでした。
再生中の曲の名前や英単語の綴りなどを点字ディスプレイですぐに確認できるのも便利です。

石川先生が、「開発が容易なのはAndroidアプリだが、ブレイルセンス用のアプリにすればもっと使いやすいものが実現できる」と話されていたのが印象的でした。
初代のブレイルセンス用に作られたクイックブラウザ、RSSリーダー、乗り換え検索、将棋アプリなどのセンスアプリはポラリス用にも作りたいと言っておられました。
BES形式の点字データの読み込みや、日本語入力時の単語登録にも今後対応予定だそうです。

一方、石川先生が「アクセシビリティ」は0点か100点かではない」とおっしゃっていたのも、その通りだと思いました。それぞれのニーズもありますし、どんな使い方をしているかによっても評価が変わってくるかもしれません。
私たちも、いろいろなAndroidアプリを試して情報交換していけたら幸いです。